2001年の匠弘堂創業より21年。

師匠である岡本棟梁の教えをしっかりと受け継ぎ、伝統建築の素晴らしさを次世代に繋げたいと日々精進してきました。加えてオープンマインドの取り組みは、様々な領域に広がりつつあります。

それを受けて行ったのが、今回の会社案内リニューアル。

匠弘堂の「これまで」「いま」「これから」をどのように伝えるか。

合同会社madoromismのデザイナーnixonさんと試行錯誤しながら共同制作しましたので、その様子をご紹介します!

nixonさん(にく村 知夏さん)のご紹介
合同会社madoromism 代表

京都市立芸術大学美術学部(彫刻専攻)卒業後、イラストレーターとしての活動、アイドル業(菩薩行)、禅道場での修養生活などを経て、2019年〜筑波大学大学院哲学・思想専攻にて宗教学を専修。2021年、学位論文「パウル・ティリッヒの芸術論と『表現主義』——救済の《フォルム》とその内的必然性をめぐって—— 」にて修士(文学)を取得。戦間期ドイツの芸術運動と神学の関係について論じる。半濁点をつねる会 名誉顧問。にっぽん路上寝を愛する会 会長。日用品振興協会 代表理事。

会社案内 冊子リニューアルの背景

匠弘堂では、2018年より始めた経営改革の一環で、以下のようなことに取り組んで参りました。

・公式サイトのリニューアル
・京都市これからの1000年を紡ぐ企業認定への挑戦
・各種イベントへの参加
・オープンファクトリー開催
・2021年:創業20周年記念誌の刊行
・七つの行動指針の作成

仕事に対する想いは、創業時より全くブレてはいないものの、匠弘堂の思い描く未来はよりフォーカスされ1つ1つ着実に形になってきています。

そういった現状を踏まえ、改めてこれまで使用してきた会社案内を見返してみると、少し陳腐化していることに加え、内容がばらけていることに気がつきました。

今までに制作した会社案内

そこで、今回のリニューアルでは、匠弘堂の1つ1つの取り組みを線で繋ぐ意味も込めて、これまで読み手によって使い分けをしていた、3種類の会社案内と20周年記念誌の要素をひとつにまとめ、内容もブラッシュアップする方向で進めることに決定しました!

21年分の情報の取捨選択に悪戦苦闘・・・

「匠弘堂の21年の歩みを1冊の誌面で幅広く知って頂きたい」という方向性は決まったのですが、次に課題になったのは「膨大な情報をどう伝えるか」という点でした。

匠弘堂には、「会社案内」や「20周年記念誌」など、21年のあゆみの中で、想いのこもった文章がたくさん蓄積されています。その文章の取捨選択や校正だけでも、多岐にわたる作業となりました。

更に、今回の冊子に必ず入れたかったのは、「4つの仕事」という文章です。

【4つの仕事】
・新築建替:祈りを込める仕事
・修理修復:歴史をつなぐ仕事
・復元復原:過去を蘇らせる仕事
・調査・設計:想いを描き起こす仕事

匠弘堂の仕事へのこだわりなどをより具体的にイメージしていただけるように、新たに書き起こした文章で、これら全てを1つの冊子に入れるために、1文・1文字にこだわっての校正作業が続きました。

蛇腹折りの会社案内

文章の量もさることながら、写真の選定でも一苦労です。21年以上にわたり撮りためてきた写真の数々から、誌面を通じて社員全員の活躍を感じてもらうことを意識して厳選していきました。その甲斐あって誌面それぞれのページから匠弘堂宮大工のいろいろな表情を垣間見ていただくことができる冊子になったと思います。

試行錯誤の末にたどり着いた 「蛇腹折り閲覧スタイル」

文章や写真の選定と並行して取り掛かったのが、誌面のサイズ選びです。

取捨選択した情報を効果的に伝えるために、完成形の誌面の大きさ選びはとても重要でした。

様々な大きさを検討し、実物大で手に取った時の見え方やサイズ感を確認。時にはミニチュア版を作成して全体の流れなども吟味しながら進めていきました。

様々なサイズの会社案内

正方形や長方形等の形の検討に加え、綴じ方・折り方まで何度も吟味。

しかし、「これだ!」としっくり来る大きさが決まりません。

そんな時にデザイナーnixonさんからご提案頂いたのが「蛇腹折りでの閲覧スタイル」でした!

蛇腹折りの会社案内

こちらが「巻物を読んでいるかのような誌面」を目指した、蛇腹折りという形状なのですが、まさに目からうろこ!

実際に手に取ると、帯状の誌面は巻物を広げるような視線で眺めたり、本をめくるように読み進めたりする事ができます。

蛇腹折りの会社案内

全体のデザインテイストは20周年記念誌を彷彿とさせる黒を基調とした配色で、匠弘堂謹製の手拭いで使用している大工道具のイラスト、これまで描きためられた図面等を効果的に配置し見やすく格好いいデザインになりました。

最後のこだわり

「蛇腹折りでの閲覧スタイル」をご提案いただいてから、デザインは順調に進んでいったものの、最後に難航したのが、各所で使用しているアクセントカラーの朱色の調整でした。

デザインのアクセントとなる朱色は、PCディスプレイ・印刷機が異なると、たとえ同じ型番の色でも異なる見え方をすることが、途中で分かったのです。

この朱色の調整は、nixonさんと匠弘堂間で入稿の直前まで続いたため、色校等も終えて無事に入稿できたときには非常に安堵しました。

会社案内の表紙

本誌では経営改革により取り組んできた挑戦が反映され、磨きのかかった匠弘堂の仕事への想いが誌面を埋めつくしています。

生まれ変わった新しい会社案内。是非実物をお手に取ってご覧いただき、たくさんのメッセージが誌面を通じて託されてゆくことを願っています。

ともにご尽力くださったnixonさんへの感謝をこめて
合掌

nixonさん(にく村 知夏さん)のご紹介
合同会社madoromism代表。京都市立芸術大学美術学部(彫刻専攻)卒業後、イラストレーターとしての活動、アイドル業(菩薩行)、禅道場での修養生活などを経て、2019年〜筑波大学大学院哲学・思想専攻にて宗教学を専修。2021年、学位論文「パウル・ティリッヒの芸術論と 『表現主義』——救済の《フォルム》とその内的必然性をめぐって—— 」にて修士(文学)を取得。戦間期ドイツの芸術運動と神学の関係について論じる。半濁点をつねる会 名誉顧問。にっぽん路上寝を愛する会 会長。日用品振興協会 代表理事。