これからの1000年を紡ぐ企業認定×匠弘堂

これからの1000年を紡ぐ企業認定

伝統を守る、これからの1000年を紡ぐ

令和元年5月25日、匠弘堂は京都市より「第4回 これからの1000年を紡ぐ企業認定」の認定を授与されました。

匠弘堂は社寺建築の業界では後発ながら、徹底的に品質にこだわる仕事ぶりを施主様にご評価いただきこれまで成長してきました。

審査にあたり作成したプレゼンテーション資料がこちらになります。

https://speakerdeck.com/shokodo/shokodo-silk

「伝統を守る、未来へと紡ぐ」その想いを社員一同胸にし、心を込めた丁寧な仕事、クレームのない高い品質、若手大工の育成、協力会社様との連携、業界を巻き込んだ勉強会の開催など多くのことに取り組んできました。

このような、匠弘堂の仕事ぶり・取り組みを評価していただき、認定につながりました。

これからの1000年を紡ぐ企業としての匠弘堂の想いをご紹介します。

伝統を守る、これからの1000年を紡ぐ

「これからの1000年を紡ぐ企業認定」とは?

「これからの1000年を紡ぐ企業認定」とは、京都市年に一度主催する認定制度で、2015年からはじまりました。

この制度では「社会的課題をビジネスで解決する」、「社会的課題を生まない新しい商品やサービス、あるいはシステムを生み出すことによって『持続可能な社会』の構築に貢献しソーシャルイノベーションを起こす」…といった取り組みを行う企業を、様々な視点で評価しています。

その中でも「売り手良し、買い手良し、社会良し」という近江商人の三方良しの考えに加え、「未来をも見据えた四方良しの経営」を実現している企業が認定の対象となります。

※京都市「これからの1000年を紡ぐ企業認定」はこちらをご覧ください。

https://social-innovation.kyoto.jp/spread/cat/authorized-company

日本の伝統建築を取り巻く問題、匠弘堂が目指すこと

いま、日本の伝統文化はあらゆる危機に晒されています。私たち宮大工として欠かせない「木の文化」もその例外ではありません。宮大工の歴史は、今から1300年ほど前、現存最古の木造建築として知られる「法隆寺金堂」が建立された頃、仏教の伝来とともに寺院が各地に建立されるようになった時代から始まります。

それだけの長い歴史を紡ぎながらも、現代の目まぐるしい社会の発展によって、それらの伝統が薄れつつあります。

失われゆく伝統的な日本らしい街並み

近年では建設費用削減の観点から、ハウスメーカーが作るお堂をはじめとする文化的価値を無視した社寺建築もしばしば見受けられます。そのような建物は、耐用年数を消費した後は単なる産業廃棄物となり、そして処分されるのでしょう。

このような歴史を踏襲した伝統工法を用いない社寺建築が増えていったら、日本の街並みや風景はどう変わっていくでしょうか?

安易な建築の先には、日本らしい伝統的な景観そのものを絶やしてしまう危険性があるのです。そしてSDGsが理想とする持続可能な社会においては、将来へ負の遺産を残すことになるかもしれません。

日本のモノづくりに対する職人のモラル低下

元来職人とは、自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出す人を指します。 「職人芸」という言葉もあるように、職人を尊ぶ文化が日本にはあります。それに応える「想いの込もったモノづくり」を行うことで伝統文化が継承されてきました。

しかし、職人の技術が継承されなければ品質は下がり、「モノづくり」に対する意識そのものも低下してしまいます。

高度な技術を注入され工業製品と化した現代建築。従来の修理して長く使われる建築は否定され、スクラップアンドビルドに形容された使い捨ての現代建築。職人の苦悩と悲痛な叫びを誰かが受け止めなければなりません。

新たな職人の減少と進む高齢化

新たな職人の減少と進む高齢化

現在あらゆるものづくり分野において職人の減少が進んでいます。近年の建設業界ではその傾向が特に顕著であると言われています。写真は芝浦工業大学が発表している建設技能者の就業人口の推移予測です。

これによると、未来を紡ぐための若手建築職人が、2030年の日本においては大幅に減少していると予想されているのです。

私たちが直面する問題 失われゆく日本らしい街並み/日本のモノづくりに携わる職人のモラル低下/職人の減少と高齢化

改めて、上記の画像にも取り上げている3点が「伝統的木造建築」を取り巻く主要な社会課題であり、匠弘堂が取り組む課題でもあります。

匠弘堂の挑戦、これからの1000年を見据えて

匠弘堂の挑戦、これからの1000年を見据えて

匠弘堂では「伝統文化の危機」を解決するべき課題ととらえ、1300年以上の歴史を持つ宮大工の技術を、これからの1000年も継承していく取り組みの推進を行なっています。

「手間」と「想い」を込めた美しい職人技

「手間」と「想い」を込めた美しい職人技

「見える所は当たり前、見えない所ほど気配りをせなあかん」匠弘堂の初代棟梁である岡本棟梁の教えです。職人として社寺建築に対し一切の妥協をせず、最初から最後まで貫き通す。それが長きにわたり美しさを保ち、日本の伝統的木造建築を支えることになると信じています。

「神は細部に宿る」という言葉で表現されるような、解体しても素晴らしいと評される「こだわり」を持った建築を生み出すことが私たちの務めなのです。

配慮を忘れず、一緒に創り上げる心

配慮を忘れず、一緒に創り上げる心

匠弘堂では、実際に建築工事が始まると、職人たちだけで進めるわけではありません。特に社寺建築では、様々な人びとが関わり、想いを巡らせ、その結果として美しい建築が生まれるのです。

そうした取り組みの一環として、ご依頼主・お施主様である住職様や宮司様に材木検査に同行いただいたり、仕上げのカンナがけをしていただいたり、古式にのっとった上棟式などの式典を催したり、想いの詰まった棟札を屋根裏に設置したり、現場見学会を行なって近隣住民の方々や建築を学ぶ学生さんにも見ていただいたり...など。

「一緒に創り上げる心」を常に大切にして建築をしています。

伝統的な技能を紡ぐ、職人を育てる

伝統的な技能を紡ぐ、職人を育てる

匠弘堂では未来の職人を絶やさないために、あらゆる取り組みを行なっています。社内にとどまらない建築業界の幅広い発展を願い、会社をまたいだ建築勉強会や意見交換の場づくりをし、より多くの人に伝統建築の素晴らしさを知ってもらうためのオープンファクトリーやワークショップなどを開催しています。そのほかにも月一回の「手斧・鉞はつり勉強会」、中学生高校生対象の見学会の開催、SNSを駆使したメディアPRの実施、メディア取材の引き受け、若手人材の積極的な採用などを行なっています。

また同業の組合様や商工会等の団体様、異業種の法人様などから研修会勉強会のお問合せも頂戴しており、経営的な視点での交流も行っています。こうして少しずつですが「宮大工の仕事」を世の中の皆さんに知っていただいています。

認定授与に寄せて(当社代表・横川)

認定授与に寄せて(当社代表・横川)

匠弘堂の初代棟梁であり私たちの人生の師であった岡本弘棟梁が亡くなったのは、2015年9月14日。その日から絶対にその名前を汚すまいと、より一層強い気持ちで全社員で会社経営に取り組んできました。

また、現場で奮闘する若い社員たちの心に響く働きぶりを世の人たちに知ってほしいとの気持ちが強くなり、この京都市の企業認定に挑戦することを決意しました。

資本主義社会では利益優先・効率優先・株主への配当優先となることは当たり前なのですが、昨今はマイナスの方向に力が働き、品質偽装のニュースが絶えません。特に長きにわたって使用される建築物のつくり方は、資本主義社会に合っているかというとかなり違和感を感じます。メーカー主導の工業製品化は諸刃の剣。そのような観点があることも是非知ってほしいのです。

そして忘れないでほしい、美しい緑の島国、日本のこと。

生活の中にいつも木があり、なんでも木で作ってきた日本人。大切な森林を守ることが、自分たちが生き続けることであることを知っていた。「木の文化」とも言える日本の文化。

この国で磨かれた社寺建築をルーツとした木造建築技術は、1300年以上の伝統を誇る日本の大切な文化です。その社寺建築に携わる職人たちも、守るべき大切なもの。創業19年目のひよっ子の私たちが出来ることはたかがしれていますが、少しでも日本文化のために尽力していきたいと心から思います。

「これからの1000年を紡ぐ企業認定」の合格で、大きな自信をいただきました。これからも変わることなく、若い社員たちと一緒に一層努力して、周りをもっと幸せにしたいと思います。

2019年4月16日 有限会社 匠弘堂 代表取締役 横川総一郎

最後までお読みいただきありがとうございます。

当日のイベントレポートはこちらをご覧ください。

【イベントレポート】「これからの1000年を紡ぐ企業認定」第四回認定授与式

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