詩仙堂丈山寺での丈山忌法要に、今年も参列いたしました。

詩仙堂丈山寺では、毎年5月23日に詩仙堂(正しくは凹凸窠)を造営した石川丈山(江戸時代の文人、徳川氏に仕える武家の出身)の命日法要が執り行われています。

詩仙堂といえば中国三十六詩仙の肖像に彩られた詩仙の間と美しい庭園が有名ですね。

5月は新緑の季節。

木々が青々としてとても涼やかな雰囲気が漂っていました。

さて、法要は詩仙堂本堂にて行われました。

詩仙堂本堂の外観

まずは綾部市隠龍寺ご住職のご法話があり、その後丈山忌法要、大施食会へと続きます。

ご法話はどのようなお話をされるのだろうと少々身構えていたのですが、開口一番にコンビニの話題が出てきてスッと肩の荷がおりる心地がしました。

ここでは語りつくせないぐらいいろいろと印象に残ったお言葉があったのですが、特に印象深かったのがこのなぞかけです。

「登り坂と下り坂、多いのはどちらでしょうか?」

隠龍寺ご住職が私たちに問いかけてきました。

これを聞いたときに、おやおや聞き覚えのある問いだなと思ったんです。

実は、坂の街・長崎を訪れた時に同じ話を耳にしました。

その時は坂の多い長崎ならではの冗談話だったのですが、隠龍寺ご住職がおっしゃりたかったことは違います。

その坂を登り坂と思うか、下り坂と思うかは視点の違いであると説きます。

登り坂は食べること、下り坂はモノを奪うこと。

それは表裏一体の関係にあります。

でも現代っ子の私たちには、下り坂の視点が足りていないのだと気づかされました。

自身の日々の行いを問い直す良い機会をいただいたご法話でした。

そして、法要へと移ります。

木々のざわめきとかすかな水音の中で、読経の声が朗々と響きます。

法要の間は、一般の方は庭園のみ拝観ができます。

美しい庭園を眺めながらどこからともなく聞こえてくる厳かな音の響きに浸る、なんとも心洗われるひと時を送れたのではないでしょうか。

最後に、道元禅師の「杓底一残水」という言葉を教えていただきました。

気になる方はぜひ調べてみてください。

貴重なお時間をありがとうございました!

書き手:松本(匠弘堂・設計士)