[ 工事レポート ]
2019.07.04【愛宕山 照智院 大師堂 新築工事⑤】―仮組―
今回は、仮組の様子についてお伝えします。
5月末から6月末までのおよそ1か月をかけて仮組作業を行いました。
仮組は、部材の加工が一通り終わった後、丸桁(がぎょう)から上の屋根部分をいったん工房内で組み立てます。
大きくない工房なので、どのあたりに組み始めるのかシミュレーションが必要です。
無事に組み上がるのでしょうか?
早速桁から組み始めます!
①梁・化粧隅木
桁が組めたら、その上に丸太の梁をかけます。
さらにその上に化粧隅木(すみぎ)をのせます。
隅木が丸太梁の上にうまくのるように、ひかり付けを行います。
ひかり付けとは、取り付く面の凸凹に合わせて部材を加工することをいいます。
今回の梁は丸太の状態なので、表面が凸凹しています。
このひかり付け作業により部材同士を隙間なく密着させることができます。
以前工事させていただいた與能神社さんの柱と沓石の取合い面も、ひかり付けがありました!
②蕪束
次は蕪束(かぶらづか)と隅木を合わせます。
方形屋根の宙に浮いてる芯束を、特に蕪束と呼ぶんです。
この蕪束を上から吊って少しずつ下ろしていき、四方から隅木を差し込んでいきます。
ここまで組んだら、軒の作業へ移ります。
③軒廻り
茅負(かやおい)の上下に垂木、裏甲(うらごう)と部材を重ねていきます。
④向拝
正面の向拝(ごはい)部分も同時に進めていきます。
部材同士がピッタリと合わさるように微調整を繰り返します。
⑤土居桁
次は土居桁(どいげた)の合わせです。
ここでもまたひかり付け…
⑥桔木
土居桁が組み終わったら、その上に桔木(はねぎ)をのせていきます。
すわりの良いように、土居桁に窪みをつくります。
⑦母屋
束の上にぐるりと母屋(もや)を渡していきます。
束と母屋は込栓をしてしっかりと固定。
⑧野隅木
化粧隅木の上に野隅木(のすみぎ)をかけます。
仮組作業もいよいよ大詰め!
⑨野垂木
最後に野垂木(のだるき)をかけて仮組終了!
こんな感じに仕上がりました!
工房内いっぱいに組み上がり、匠弘堂社員みんなも大満足!
仮組を終えたら全部ばらして、実際に建てる現場へ持っていく積込み作業です。
各部材が傷付かないように梱包養生も丁寧にして。
次回は現場での建て方の様子をお伝えする予定です。
お楽しみに!
第1回記事はこちら
第2回記事はこちら
第3回記事はこちら
第4回記事はこちら
書き手:松本(匠弘堂・設計士)