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[ 社員紹介 ]

2019.12.02

「設計も理解しないといいものは作れないと思う」――宮大工だけど、二級建築士の資格を取りました【宮大工・小島 新吾】

匠弘堂で働く宮大工や設計技術者たちによるリレー形式のコラム、スタッフブログ。第6回を担当するのは、宮大工の小島 新吾です。

木工が大好きで大工になるための学校で学び、現在入社3年目。そんな小島が2018年に二級建築士の試験を受け、みごと合格しました。大工という仕事にかける思いや、二級建築士の資格を取るためにした勉強法、今後この資格や知識をどう活かしていきたいかについて語ってくれました。

「木を加工するのが好き」から始まった宮大工への道

小学校の頃から、大工になりたかったんです。

別に家の人が大工やっていたとかそういうのではなくって、ただ、木を加工するのが好きだったんで、それじゃあ大工かなあと。その頃はまだ、大工とか宮大工とか細かいこと知らなかったんですけど。

なんで木を加工するのが好きになったのか、きっかけは覚えてないんですよね……ただ、小学校のときから図工の授業は好きでした。

中学校に入ると、学校に木工部があったので入部して、いろんなものを作りました。普段は糸ノコを使って小物を作るのですが、夏休みなどになるとちょっと大きな、家具のようなものを作るんです。マガジンラックやトロフィー置きとか。

この部活をやったことで、木を加工するのが特に好きになったように思います。

「本気で宮大工になりたいなら、京都で修行しなさい」

木を加工するのが好きだから大工になりたい、と思ったのはいいんですが、よく考えたら、今は住宅を作るときってプレカットされた建材を現場で組み立てる方法が主流なんですよね。

それを知って、これは自分がやりたいこととはちょっと違うな、と。それで、建材の加工から関われる宮大工になりたいと思うようになりました。

それまで特に社寺に興味があったかといわれると、けっしてそうではなかったんです。よく神社やお寺に行くってほうでもなかったし。小学校の修学旅行で日光東照宮行って、すごい装飾見て「すごいなあ、こういうの作ってみたいなあ」と思ったぐらいで(笑)

でも、あとからだんだん、一般的な、そんなに装飾があるわけではない神社やお寺も「いいなあ」と思うようになりました。

高校は工業高校に通っていたのですが、卒業後の進路を進学か就職かで迷ったんです。そこで、鎌倉の宮大工の棟梁に話を聞きに行きました。

そうしたら、その棟梁にこう言われたんです。

「本気で宮大工になりたいなら、京都で修行しなさい。今の時代、そんなにすぐに道を決める必要はない。進学して、ほかの職業のことも知ってから、それでもやりたいなら宮大工になればいい」

それで進学することにして、静岡県にある日本建築専門学校に入りました。ここは棟梁を養成するというコンセプトの、全寮制の学校なんです。特に宮大工コースがあるとかそういうことはないんですけど、規矩術(きくじゅつ※)など、一般的な大工として必要なことをここで学びました。

そして、就職活動するときに京都の宮大工の会社を探して、匠弘堂に連絡を取ったんです。

※指矩(さしがね)を使って木材がきちんと組み合わせるように墨をつける技。図学や数学などの知識が必要

現場の手伝いからスタート。少しずつ目に見える場所をさせてもらえるように

最初の現場は、本興寺(ほんこうじ)の塔頭の本成院(ほんじょういん)というお寺でした。

最初は、現場の片付けとか、ゴミ捨てたりとか、掃除したりとか、そういうことをやりました。しばらくそういう現場の手伝い的な仕事をして、それから構造ものと呼ばれる、完成したら目に見えなくなるような部分をさせてもらって。

化粧もの、完成したあとも見えるような部分をさせてもらったのは、入って半年くらい経ってからです。鉋を使った仕上げみたいなところから、少しずつ、少しずつ、少しずつ……って感じでさせてもらいました。

仕事が終わったあとや休憩時間にこつこつ勉強。受かったときは「ほっ」

二級建築士の資格を取ろうと思ったのは、ここに来て2年目のタイミングです。専門学校って、卒業すると二級建築士の受験資格が得られるんです。だから、いつかは取ろうと思っていました。学校で勉強したことを忘れないうちに、と。1年目はまず仕事に慣れないとと思っていたので受験を見送ったんです。

受験勉強は、仕事が終わってから家で勉強したり、テキストを会社に持ってきて休憩時間に勉強したりしました。

それから、資格取得の学校に毎週日曜日に通いましたね。日曜日は基本的に仕事はお休みなんですが、たまに現場の作業が入ることがあるんです。そんなときはお休みをいただいて、学校に通いました。

試験の直前には、社長が「ちゃんと勉強しなあかん」とお休みをくれました。うれしかったんですが、ちょっとプレッシャーも感じたり(笑)

二級建築士の試験には、学科と製図の2つの試験があります。製図は学校でもやっていたのでまあまあいけるかなと思ったのですが、学科の試験が終わったときは正直合格できるかどうか不安でした。だから、合格したときはうれしいよりまず「ああ、よかった」とホッとしました。

二級建築士の資格を取るのは、目的でなく目標だった

大工の仕事に設計士の知識が役立つかと言うと、今のところはあまり……ちょっと実感がない感じです。

二級建築士の試験には、設計に関する問題以外に、法規に関する問題もあるんですね。でも、こういった法律の規定は、社寺は例外になることも多いので、これもどこまで活かせるかは正直わからない。

仕上げなどは、もしかしたら大工の仕事に役立てることができるかもしれません。たとえば、断熱材を貼る順番とか。壁って、壁内部でも結露することあるんですよ。それを防ぐための断熱材や透湿防水シートの貼り方とか、そういうのがあるんです。そういうことは関係してくるかもしれないですね。

だけど、資格を取るための勉強の中には、宮大工の仕事に関わってくることも結構あるんですよね。だからどちらかというと、資格を取るために勉強したというよりは、勉強して、その目標として二級建築士の資格を取ろうと思った、に近いかもしれません。

現場のことだけじゃなく、建築全体を知る努力も続けていきたい

設計がやっていることをちゃんと理解していない大工には、いい仕事はできないんじゃないかなと思います。それから、社寺建築が法規的には例外扱いされることが多かったとしても、一般的な法規を知っておくことは悪いことではないし。

それに、立場が上になっていけば、お施主さんともいろいろ話をする機会が出てきます。そうなったときにはきっと、現場のことだけじゃなく、建築全体のこともわかっていないといけないと思っています。だから、大工の仕事にだけ集中するのではなく、建築全体のことを知る努力も続けていきたいです。

でも、まだまだ先は長いんです(笑)

たとえば、墨をつける仕事なんかはまだやらせてもらえません。墨をつけるっていうのは、木材に加工したり、取り付けたりするときに使う中心線を引く仕事なんですけど、これが正確でないと、もうだめなんてすね。木材を組めなくなっちゃうし、そこで現場がストップしてしまう、大切な仕事です。早く、こういう仕事もちゃんと任せてもらえるような大工になりたいですね。

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