広島県廿日市市に御鎮座される速谷神社さん。今から25年ほど前に、当時火事に遭われたご本殿、拝殿の造営工事に、岡本棟梁が携わせていただいたのがご縁の始まりでした。
今回、ご用命承りましたのは、現在「斎館」と呼ばれる古い建物の再生でした。この「斎館」は1927年1月内務省神社局の設計で、神職が神事の前に心身を清めるためにこもる「斎館」として建てられたもので、一部を社務所として使用されていました。ただ13年ほど前に新しい社務所(弊社施工)ができて以来、使用頻度が少なくなっていました。
そこで宮司の櫻井様より「一部を神楽殿に改造し、大広間で茶会も催せる機能を与え、歴史ある建物を後世に残し、地域住民に広く活用してもらいたい」との強いご希望が私たちの元に届いたのでした。
なんと言っても、旧社務所部分を大改造して生まれ変わった神楽殿です。
白木の太い柱が新しく葺き替えられた屋根を支えます。周囲には高欄付きの浜縁が追加され、以前の趣とは全く違った建物となりました。
なお、この高欄は取外し可能な構造となっており、能舞台としても使用できるように工夫されています。
神楽殿を使用しない時は、雨戸を閉めることができます。回転式で雨戸が周囲をぐるりと走るので、その仕組みと調整に苦労しました。
大広間は、建設当時の厳格な床の間を復元し、廊下の突き当たりに水屋を作りました。京都の宮大工として腕の見せ所です。
タルキ天井には埋め込み照明が、また見返しには舞台照明がセットされています。これからいろいろな利用の仕方で多くの人たちに喜んでもらえるかなと思うと、ワクワクしてきます。
右の写真は、引渡し前の取扱い説明中のところです。雨戸の回転も上手くいきました。
あまり使われないでいた建物が命を吹き返した感じがしました。まるで喜んでるかのようです。また新たな歴史を刻んで、人の営みの支えになってもらえることを願います。それが、宮大工の本望だから!
こけら落としでは、「お神楽」が奉納されました。私たちが携わった建物にすごい人数の地元の方々が集まっている光景に感動致しました。
速谷神社の禰宜様より「京都の匠弘堂という日本一の宮大工さんに建ててもらいました。」とのお言葉に、スタッフ一同赤面&涙。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
神楽殿に改修工事をした場所は、小屋組(屋根裏)の架け直しが一番の苦戦で、屋根の荷重をどう柱に伝えていくかのか、軒先をどう支え、きれな反りを維持するか、という大きな課題が二つありました。
小部屋の架け替えは、思ったよりも大変なものでしたが、使われていた梁、桁材料が良材であったこと、また仕事をされた大先輩となる大工さんたちがしっかりとした仕事をされていたことで、なんとかしっかりとした綺麗な建物を次世代に繋げられることができました。
また、地域の方々や地域の活性化に直接的ですが貢献させて頂いたことに
感謝しています。本当にありがとうございました。